25.滅菌について

◆ 一般ポリエチレンに付着する微生物の可能性

我々、ポリエチレン袋を生産しているメーカーが良く口にする言葉で、ポリエチレンは150℃前後で樹脂を溶融してインフレーションしておりますので微生物は死滅しています。と言う会話を良く耳にします。我々もずっと以前、未だクリーン事業に携わる前には「そう言ったセールストークをしたような、しなかったような・・・・」。 しかし、コストパフォーマンスや製品の納期の問題もありますので一般用のポリ袋は別として、「医薬品包装を目的としたポリエチレン袋」の場合はなかなかこのようなわけには参りません。

インフレーションは、エアーによりバブル(ポリエチレンチューブ)を製造し、それをロール状に巻き取ってゆきます。・・・・と言うことはエアーに微生物が含まれていれば、もっと表現を変えますとエアーに微生物の付着可能なパーティクルが混在していれば必ずポリエチレンチューブ内面にも微生物が付着していると言えます。ただ、その微生物も無栄養下ですので長い期間の生存は困難なものであると思われますが・・・・。

また、巻き取られたロール状の原材料も、巻き取られる工程内や袋にするまでの工程に落下菌や人の手や物による接触により、微生物付着のタイミングは数限りなく多くあります。また、袋にする製袋工程内でも保管状況や作業環境により微生物付着の可能性は多々存在します。極端な表現ですと、クリーンルームでもISO class3以上であれば1μパーティクルが存在しており微生物の存在が全く否定されるものではありません。そこで、考えられる対策としてはフィルムに滅菌を施すという方法です。ポリエチレンフィルムに対する滅菌方法としては耐熱性の問題があり「EOG滅菌」「γ線照射」「β線照射」「紫外線照射殺菌」「パルス殺菌」・・・等々があります。ただし、EOG滅菌の場合はEOGガスの残留問題、紫外線殺菌の場合は滅菌となると完全性に問題もあり、現行においてはポリエチレンフィルムの滅菌の主流は「γ線照射」「β線照射」です。

◆ 滅菌処理とその後の作業

ただし、滅菌した後被滅菌物が汚染されれば全く意味がなくなりますので、包装方法や輸送方法などそれぞれノウハウが必要となります。・・・と言う事は、いくら微生物が付着していてもこのような方法により滅菌を確実に行なえば(異物付着は別問題として)微生物問題についてはクリアーする事となります。しかし、ここで致命的な問題はそのような雰囲気下での生産環境である事と、最近特に騒がれているエンドドキシンに対する問題です。グラム陰性菌の付着は問題外と致しましても微生物付着が多量にあるということは、自ずと異物付着問題もパラレルに発生する傾向にあると思います。

話は元に戻しまして、γ線であれ、β線であれ照射滅菌を行う事によりポリエチレンフィルムに対しては、ラジカルが生成して新しい化合が起こることは避けられません。それが顕著に現れるのが臭気と原料グレードによりましてはフィルムの変色です。よって、このラジカルの押さえ込みがノウハウと言えます。当社もこの問題に長年取り組んでまいりました。さらに、大幅には変化はしませんが照射線量が高くなりますと架橋による物性変化も考えられます。

ただ、最終的には作業するのは人。クリーンルームからすると一番の汚染源であり、かつ一番アナログではありますが一番応用性の高い「精密検査機」でもあります。オペレーターへの日々の教育訓練が最も大切なテーマであると考えます。