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8.ポリエチレンの代表的な添加剤|酸化防止剤・滑剤などを紹介


 ポリエチレンには、用途に応じてさまざまな添加剤(酸化防止剤・滑剤・アンチブロッキング剤など)が
使われています。
 ポリエチレン原料に含まれる代表的な添加剤の種類や働き、安全性について紹介します。


代表的な添加剤とその役割

(1)酸化防止剤とは?|ポリエチレンの劣化を防ぐ添加剤

 ポリエチレンの経時劣化を抑え、特にインフレーション工程(140℃~190℃の加熱溶融時)における
酸化を防ぐために使用されます。
 酸化が進むと樹脂の炭化(焦げ)が発生しやすくなり、製造上の問題を引き起こす可能性があります。
 
 代表的な酸化防止剤には、以下のような種類があります。
  • フェノール系酸化防止剤(BHT=ジブチルヒドロキシトルエン)
 優れた酸化防止効果を持つが、発がん性の懸念が指摘されている。
 そのため、安全性の高い代替品の使用が進められている。

  • 硫黄系酸化防止剤
  • リン系酸化防止剤

 現在、市場に流通しているほとんどのポリエチレンレジンにはフェノール系酸化防止剤が使用されて
いますが、安全性向上のための研究も進められています。

(2)滑剤とは?|加工性を向上させる添加剤

 フィルムの滑り性を向上させインフレーション工程において金型ダイスからの離型性を高める役割を
果たします。
 また、耐摩耗性の向上や製袋工程における生産スピードの向上にも寄与します。
 
代表的な滑剤には、以下のものがあります。
  • 脂肪酸系滑剤
  • 脂肪族アミド系滑剤

(3)アンチブロッキング剤とは?|フィルムの密着を防ぐ添加剤

 フィルム同士の密着を防ぎ、ポリ袋の口を開きやすくすることで、内容物の充填作業を容易にする役割を
担います。
 ブロッキングが発生すると、フィルムが密着しやすくなり、ひどい場合には「板状」になってしまうことも
あります。
 
 一般的に使用されるアンチブロッキング剤には、以下のようなものがあります。
  • 合成シリカ
  • シリカ

●まとめ

添加剤の種類
主な目的
代表的な物質
安全性への懸念
酸化防止剤
加熱時の劣化防止
BHT(フェノール系)など
一部に発がん性の懸念
滑剤
滑り性、離型性の向上
脂肪酸系、アミド系
低リスク
アンチブロッキング剤
フィルムの密着防止
合成シリカなど
安全性高い
 ポリエチレン原料には用途に応じて様々な添加剤が使用されています。
 酸化防止剤は樹脂の酸化を防ぎ、滑剤は製造工程での操作性を向上させ、アンチブロッキング剤は
作業効率を向上させます。
 特に、フェノール系酸化防止剤(BHT)は効果が高い反面、安全性への懸念があるため、
今後の代替技術の発展が求められています。
 
 添加剤の選定は、最終製品の用途(食品包装・医療用・工業用)や安全性の基準に大きく関係します。
 無添加ポリエチレンを選ぶべきか、添加剤を活かすべきかは、製品特性と目的に応じて判断することが
重要です。


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