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1:ハラールと包装資材について

包装資材メーカーとしてどのような対応ができるのか?

 記念すべき第一回目の情報配信は「ハラール」についてです。おそらく題名にご興味をお持ち頂き、ご覧になられている皆様であれば、「ハラール対応を依頼されている」「顧客より質問があった」等、少なからず困られている方もいらっしゃると思います。
 では、そもそもハラールとは何か?包装資材メーカーとして何をしなければならないのか?という核になる部分をご説明させて頂きます。
※本文作成者は『NPO法人 日本ハラール協会』殿の【ハラール管理者講習修了証明書】を受けておりますが、各地域・国・協会によって考え方のズレもあり、更に年々範囲や解釈も少しずつ変わってきております。極力最新の情報にアップデートするよう心がけますが、あくまでも情報のひとつとしてご理解いただければ幸いです。
※包装資材メーカーからの視点で解説致しますので、宗教解釈等に関しては至らぬ部分が多く見受けられることと存じます。何卒ご容赦くださいませ。
 

そもそもハラールとは?

※まえがき※
弊社の考え方では「ハラール対応製品」や「ハラール対応包材」等という表現は致しません。ムスリムがおらず、ハラール認証を受けていない日本の包材メーカーが謳えるとは思えませんし、そもそもハラールという判断をすることは出来ないと考えているからです。 
 
最近包装資材メーカーとしてよく耳にする「ハラール」という言葉ですが、イスラーム法(シャリーア法)における【合法/許されている】という解釈になります。
 そして反対は「ハラーム」という言葉になります。それは【非合法/禁じられている】という解釈になり、その重なり合う部分には「マシュブーフ」【疑わしい】という言葉もございます。
 良く「ハラール対応なんだからハラールの原料を使えばいいんでしょ」というご質問を頂きますが、『現実的にかなり難しい』と考えます。それはなぜか?実はハラールの中にも「ワージブ(義務である)」「マンドゥーブ(推奨されている)」「マルクーフ(望ましくない)」「ムバーフ(許容されている)」と4つの法的地位がございます。その莫大な情報量の中からハラールな原料をピックアップすることは非常に難しいからです。といいますのも、古くに定められたシャリーア法に、現在の化学製品であるポリ袋の原料などが記載されているわけでもありませんので。。。
 
では、どのようなアプローチ方法が適切なのか?という疑問になってきます。その方法としては「ハラールであるものを選定するのではなく、ハラームの疑いがあるものを避ける」という事が合理的です。ポリ袋の原料であるポリエチレン自体は化学物質なので原則ハラールに定義づけられるため問題は無いのですが、その他の【添加剤】【生産設備汚染成分】が問題になってきます。ハラームは「もの・こと」という大きなフレームですが、その中でも添加剤が関わってくるのはハラームの中のナジス(不浄なもの)の分類に分けられます。ナジスとは『犬、豚、その近縁種のあらゆる部分』『死肉、ハラールなものでもハラール屠畜をされていない動物のあらゆる部分』『糞尿、血液、嘔吐物、膿、その他人体や動物の開口部から排泄される物質』『酒類(飲料用、酩酊作用を持つ飲料)』等がございます。添加剤や生産設備汚染成分はこの『豚』及び『ハラール屠畜されていない動物のあらゆる部分』という項目に引っかかってしまう可能性が非常に高いのです。理由としては、添加剤や工場設備に使用される成分には、高い確率で何かしらの動物性由来の成分が含まれています。豚であれば勿論即NGでございますが、他の動物であってもハラール屠畜を行い、ハラール屠畜の証明書を有していなければナジスと位置づけられるわけです。
 
ですので、ポリ袋メーカーとしては上記の『添加剤』『生産設備からの汚染』というテーマを掲げてナジス、そしてハラームを避けた袋の生産が最終的な目標となります。
 
しかし、冒頭でも申し上げたように各地域・国・協会によっても解釈に若干の違いがある為、弊社としてはご対応可能なレベルのご提示をさせて頂くことは可能ですが、決して「ハラール対応製品」や「ハラール対応包材」のようなものではなく、『原料管理をしている包材』という御認識を頂ければ幸甚です。最終的にはハラール認証をお受けになられている企業様にとって使用できる包材か、否か?にかかってくるのが正直なところであると言えます。