41.ポリ袋に付いている『傷』について【クレーム考察編】
今回はポリ袋についた傷について考察してみます。「たかが傷。されど傷」です。
ポリ袋は安全面においても価格的にも非常に便利な柔軟性のある容器です。また、耐酸性・耐アルカリ性・ある程度の耐薬品性もあり、食品包材・産業用包材・化学品などのドラム缶用の内装袋としも幅広く使用して頂いております。しかし、容器である以上、傷等が入ってしまい漏れてしまいますと容器としての本来の役割を果たせなくなります。本日は、この傷に絞りレポートさせて頂きます。
袋に傷等、外傷により発生するクレームは比較的によく発生するクレームでもあります。傷も精査すると、「外から内へ引っ掻いたような傷」や「突いたような傷」。逆に「内から外へ引っ掻いたような傷」や「突いたような傷」。はたまた「ピンホールのように穴の空いた傷」など様々です。内容物を充填する前に発見頂きましたら大きなクレームには繋がらないのですが、内容物の充填後となると大きなクレームとなり、かつ益々調査が困難となります。さらに、内容物が液体や粘体でしたら被害も甚大です。
それでは、傷について「袋への内容物の充填以前」と「袋への内容物の充填時・充填後」に大別して掘り下げていきます。
まずは、袋への内容物の充填以前。つまり、お客様がポリ袋の外装包装を開封し、取り出してご使用する前に発見された傷からご説明申し上げます。
最初に考えられるのは運送中、運送会社のハンドリングが悪く打痕や落下等により傷つく場合です。結構このケースは現実問題として比較的多く発生している傷でもあります。
この場合は、調査する際も比較的わかりやすく(不良品を包装資材ごと全てご返送頂きますと判明するのですが)、ポリ袋は長さ方向に向かって畳んでおりますが、傷の入っている場所がそれを包装していた包装紙の傷位置と、畳んでいるポリ袋の傷位置が符合します。こんな場合、傷が2~3枚に渡って同位置に連続して入っています。ただ、傷は内側に入るほど弱くなっております。発生場所としては、梱包の角である8か所に比較的多く発しているようです。例外的に、梱包の底部分に発生していたことがありましたが、調査を進めますと運送会社のトラックの床やパレットが木材仕様で、その木材のささくれが梱包材に「ささり」、貫通して底部分に傷が付いたことがありました。
次は運送以前の傷です。運送以前の傷となると、当然製造ライン工程内で付着した傷であります。ポリ袋は、
① 樹脂を溶融させてポリエチレンチューブにし、巻物にするインフレーションライン。
② そのポリエチレンチューブを、熱により溶着・裁断する製袋ライン。
③ ②によって、出来上がったポリ袋を包装・梱包する包装ライン。
大まかには、この3つのラインに分けられます。しかし、上記①及び②のラインでは、これらの工程は過去の多くの経験や反省なども含め、傷等の外部損傷を防ぐため各社相当の創意工夫と対策を施してきております。よって、生産機による傷の付着は比較的少ないものであり、③の人的作業部分により発生するヒューマンエラーが専らです。それは包装梱包中に誤ってフィルムに傷をつけてしまう事です。(厳密には梱包後に傷がついた場合は、運送中における傷と同じ現象となります。)
通常梱包場には、「はさみ」「カッター」「テープカッター」など、傷に起因する備品が多くあります。誤って、触れてしまったり、落下させてしまったり・・・・なども否定できません。
ただし、内容物が充填されていないにも関わらずポリ袋のフィルム片面だけに傷等が発生していて袋が破れている場合。・・・・・・・ このようなケースであれば、逆に①②の製造ライン上でつけてしまった傷の可能性が高く、ラインの総点検の必要性があります。(樹脂炭化物発生に伴うピンホールなどが代表例です。)
理由としては、片面しか傷が入っていないという事は、袋が開口している状態で傷ついた事の証明であり、開口している工程となると範囲が限定されるからです。要は、「インフレ工程」内の押出し部分から安定板を通過の後のピンチロールまで、と製袋工程の「二次ブロー」工程以外には考えられないからです。
よって、傷の原因解明には、傷ついた不良品以外にポリ袋を梱包していた「梱包資材」も残して頂ければ、発生した工程の推測の大きな手かがりとなります。しかし、意外とお客様のクレーム時には包装用紙が廃棄されてしまっている事がほとんどです。(お使いなられる側からとしては、包装用紙は不要物であり当然ですが・・・・)
そして、袋への内容物の充填時・充填後に発見される傷です。ポリ袋を容器にセットする際、ドラム缶内袋用のポリ袋の場合は、ポリ袋のサイズも巾950mm~1000mm。長さも1700mmと非常に大きいため、意外とハンドリング時に何かにぶつけてしまうケースも少なくありません。また、ポリ袋をドラム缶にセットした際、ドラム缶内面に「バリ」等が発生していた場合は、その「バリ」でフィルムが傷ついたり、輸送時内容物の重さで、バリ部分とフィルムとが擦れあい穴が空いてしまうケースもあります。
また、意外と柔らかいイメージのあるダンボールなどでも、輸送中ダンボールケースとフィルムとが擦れあって破れるケースもあります。例えば過去、麺つゆなどをダンポールで輸送する際、何故かわからないがダンボールの中で麺つゆが漏れるケースがあったのですが、アルミを使用したラミネート袋は特に素材に腰があり硬く、カットした4隅は非常に鋭利な状態になっており、被包装物同志で傷付け合ったり、輸送中にダンボールケースとフィルムが数千回。いや場合によっては数万回と擦れあうためフィルム疲労が発生することで想定外の破袋を引き起こす事も考えられます。
しかし、今までご説明させて頂いた傷は全て「袋外側から内側へ」入った傷の場合です。しかし、この傷が「内側から外側へ」の場合は状況が一変します。内から外側への傷となりますと、内容物充填後の傷としか考えられないものであります。
この現象は、袋の片面ともう片面の両方ともが同じ位置で内から外への傷が入っているケースはまずありえるものではなく「片面のみ」に発生する現象です。
ポリ袋は安全面においても価格的にも非常に便利な柔軟性のある容器です。また、耐酸性・耐アルカリ性・ある程度の耐薬品性もあり、食品包材・産業用包材・化学品などのドラム缶用の内装袋としも幅広く使用して頂いております。しかし、容器である以上、傷等が入ってしまい漏れてしまいますと容器としての本来の役割を果たせなくなります。本日は、この傷に絞りレポートさせて頂きます。
袋に傷等、外傷により発生するクレームは比較的によく発生するクレームでもあります。傷も精査すると、「外から内へ引っ掻いたような傷」や「突いたような傷」。逆に「内から外へ引っ掻いたような傷」や「突いたような傷」。はたまた「ピンホールのように穴の空いた傷」など様々です。内容物を充填する前に発見頂きましたら大きなクレームには繋がらないのですが、内容物の充填後となると大きなクレームとなり、かつ益々調査が困難となります。さらに、内容物が液体や粘体でしたら被害も甚大です。
それでは、傷について「袋への内容物の充填以前」と「袋への内容物の充填時・充填後」に大別して掘り下げていきます。
まずは、袋への内容物の充填以前。つまり、お客様がポリ袋の外装包装を開封し、取り出してご使用する前に発見された傷からご説明申し上げます。
最初に考えられるのは運送中、運送会社のハンドリングが悪く打痕や落下等により傷つく場合です。結構このケースは現実問題として比較的多く発生している傷でもあります。
この場合は、調査する際も比較的わかりやすく(不良品を包装資材ごと全てご返送頂きますと判明するのですが)、ポリ袋は長さ方向に向かって畳んでおりますが、傷の入っている場所がそれを包装していた包装紙の傷位置と、畳んでいるポリ袋の傷位置が符合します。こんな場合、傷が2~3枚に渡って同位置に連続して入っています。ただ、傷は内側に入るほど弱くなっております。発生場所としては、梱包の角である8か所に比較的多く発しているようです。例外的に、梱包の底部分に発生していたことがありましたが、調査を進めますと運送会社のトラックの床やパレットが木材仕様で、その木材のささくれが梱包材に「ささり」、貫通して底部分に傷が付いたことがありました。
次は運送以前の傷です。運送以前の傷となると、当然製造ライン工程内で付着した傷であります。ポリ袋は、
① 樹脂を溶融させてポリエチレンチューブにし、巻物にするインフレーションライン。
② そのポリエチレンチューブを、熱により溶着・裁断する製袋ライン。
③ ②によって、出来上がったポリ袋を包装・梱包する包装ライン。
大まかには、この3つのラインに分けられます。しかし、上記①及び②のラインでは、これらの工程は過去の多くの経験や反省なども含め、傷等の外部損傷を防ぐため各社相当の創意工夫と対策を施してきております。よって、生産機による傷の付着は比較的少ないものであり、③の人的作業部分により発生するヒューマンエラーが専らです。それは包装梱包中に誤ってフィルムに傷をつけてしまう事です。(厳密には梱包後に傷がついた場合は、運送中における傷と同じ現象となります。)
通常梱包場には、「はさみ」「カッター」「テープカッター」など、傷に起因する備品が多くあります。誤って、触れてしまったり、落下させてしまったり・・・・なども否定できません。
ただし、内容物が充填されていないにも関わらずポリ袋のフィルム片面だけに傷等が発生していて袋が破れている場合。・・・・・・・ このようなケースであれば、逆に①②の製造ライン上でつけてしまった傷の可能性が高く、ラインの総点検の必要性があります。(樹脂炭化物発生に伴うピンホールなどが代表例です。)
理由としては、片面しか傷が入っていないという事は、袋が開口している状態で傷ついた事の証明であり、開口している工程となると範囲が限定されるからです。要は、「インフレ工程」内の押出し部分から安定板を通過の後のピンチロールまで、と製袋工程の「二次ブロー」工程以外には考えられないからです。
よって、傷の原因解明には、傷ついた不良品以外にポリ袋を梱包していた「梱包資材」も残して頂ければ、発生した工程の推測の大きな手かがりとなります。しかし、意外とお客様のクレーム時には包装用紙が廃棄されてしまっている事がほとんどです。(お使いなられる側からとしては、包装用紙は不要物であり当然ですが・・・・)
そして、袋への内容物の充填時・充填後に発見される傷です。ポリ袋を容器にセットする際、ドラム缶内袋用のポリ袋の場合は、ポリ袋のサイズも巾950mm~1000mm。長さも1700mmと非常に大きいため、意外とハンドリング時に何かにぶつけてしまうケースも少なくありません。また、ポリ袋をドラム缶にセットした際、ドラム缶内面に「バリ」等が発生していた場合は、その「バリ」でフィルムが傷ついたり、輸送時内容物の重さで、バリ部分とフィルムとが擦れあい穴が空いてしまうケースもあります。
また、意外と柔らかいイメージのあるダンボールなどでも、輸送中ダンボールケースとフィルムとが擦れあって破れるケースもあります。例えば過去、麺つゆなどをダンポールで輸送する際、何故かわからないがダンボールの中で麺つゆが漏れるケースがあったのですが、アルミを使用したラミネート袋は特に素材に腰があり硬く、カットした4隅は非常に鋭利な状態になっており、被包装物同志で傷付け合ったり、輸送中にダンボールケースとフィルムが数千回。いや場合によっては数万回と擦れあうためフィルム疲労が発生することで想定外の破袋を引き起こす事も考えられます。
しかし、今までご説明させて頂いた傷は全て「袋外側から内側へ」入った傷の場合です。しかし、この傷が「内側から外側へ」の場合は状況が一変します。内から外側への傷となりますと、内容物充填後の傷としか考えられないものであります。
この現象は、袋の片面ともう片面の両方ともが同じ位置で内から外への傷が入っているケースはまずありえるものではなく「片面のみ」に発生する現象です。
では、傷がどの方向から入ったか? は、当社にも設置しておりますが下図のようなデジタルスコープで確認すれば大体の場合は判明します。
今まで、色々と考察を進めて参りましたが、梱包行程中に発生するこのような傷もあります。
それは、ポリ袋のたたみ方が原因による傷・ピンホールです。袋は包装時通常長さ方向にのみ折りたたみます。しかし、袋の巾が広いため巾方向にポリ袋を折る事がありますが、それが原因で発生するケースです。袋を口方向に折ってしまい、かつ長さ方向にも折ってしまいますと必ず長さ方向の折り返した部分に、「角」が出来てしまいます。これを我々の業界では「ツノが出来る」と表現しますが、口方向に折った際に出来たR部分をさらに長さ方向に折りますので、内側と外側の内外角の寸法差が出来き、折った部分が尖ってしまうのです。このツノはとても硬く尖ってしまい、薄い厚みのポリ袋でも先を指でつつくと「ちくちく」するくらいです。
それは、ポリ袋のたたみ方が原因による傷・ピンホールです。袋は包装時通常長さ方向にのみ折りたたみます。しかし、袋の巾が広いため巾方向にポリ袋を折る事がありますが、それが原因で発生するケースです。袋を口方向に折ってしまい、かつ長さ方向にも折ってしまいますと必ず長さ方向の折り返した部分に、「角」が出来てしまいます。これを我々の業界では「ツノが出来る」と表現しますが、口方向に折った際に出来たR部分をさらに長さ方向に折りますので、内側と外側の内外角の寸法差が出来き、折った部分が尖ってしまうのです。このツノはとても硬く尖ってしまい、薄い厚みのポリ袋でも先を指でつつくと「ちくちく」するくらいです。
ここの部分が輸送中に包装資材と擦れあった場合、先端部分が摩擦により破れてピンホールが発生してしまいます。薄いフィルムですと、一番外側の袋から数枚に渡りピンホールが発生している場合がある程です。
この場合傷は「フィルム片側は外側から内側」へ。もう片側は「内側から外側」へ発生します。また、傷の位置も当然フィルム両方とも同じ位置です。よって、我々は袋を幅方向+長さ方向へ折らなければならない場合は、包装単位を慎重に検討しなければなりません。
これらのように、一言でポリ袋の傷と申し上げましても千差万別で奥が深く、お客様と我々生産者で本当に原因を一つ一つ検証しながら対応していかないと、その場しのぎの対策や報告書提出になってしまいます。「原因は生産者である!!」 「ご使用中についたものだ!!」・・・・と責任追及や弁明ばかりするのではなく、原因を追求する姿勢で当たらないと解決は非常に困難なものと考えます。まさに、「されど傷です」。
この場合傷は「フィルム片側は外側から内側」へ。もう片側は「内側から外側」へ発生します。また、傷の位置も当然フィルム両方とも同じ位置です。よって、我々は袋を幅方向+長さ方向へ折らなければならない場合は、包装単位を慎重に検討しなければなりません。
これらのように、一言でポリ袋の傷と申し上げましても千差万別で奥が深く、お客様と我々生産者で本当に原因を一つ一つ検証しながら対応していかないと、その場しのぎの対策や報告書提出になってしまいます。「原因は生産者である!!」 「ご使用中についたものだ!!」・・・・と責任追及や弁明ばかりするのではなく、原因を追求する姿勢で当たらないと解決は非常に困難なものと考えます。まさに、「されど傷です」。