27.クリーンチャック袋について
この度、当社では『クリーンチャック袋』を製造販売する事となりました。今回のまめ事典は少しPRっぽくなりますが、以前からお客様より大変御要望頂いておりました商品でありますのであえて掲載致しました。何卒ご理解くださいますようお願い致します。
チャック袋は原則的に「ポリエチレン単体タイプ」と「ラミネートタイプ」。そしてラミネートタイプには、アルミ箔を層間に使用したバリアタイプとナイロンを層間に使用した透明タイプに大別されます。また、ラミネートタイプには加工方法として袋の底を舟形にした「スタンディングタイプ」と称した自立タイプ(飲料や健康食品などに良く使用されています)があります。ただ、ポリエチレンタイプにしろラミネートタイプにしろ「1枚のフィルムを半折して製袋加工したり」「2枚のフィルムを重ねて製袋加工」致しますので、フィルムの表裏面はそれらの加工工程において機械ラインや機械に取り付けられている多数のローラー、そして最悪の場合は手袋などしていない素手などによる接触も考えられます。
さらに、ラミネートフィルムは、
「強度アップやバリア性能を付与するフィルム層」・・・・ PET(ポリエステル)やNy(ナイロン)やEVOH(エチレンビニルアルコール)、アルミ箔等の製造メーカー。
「フィルムとフィルムとを熱溶着するシーラントフィルム層」・・・・PPやLLDPEやPEなどを生産するフィルム製造メーカー。
そしてさらに「それらのフィルムとフィルムを貼り合わせる」ラミネートメーカーとが異なった企業である場合が殆んどですから、品質管理やパーティクル付着・異物付着の管理レベルにも大きな格差があります。よってクリーンチャック袋と命名する以上はその部分をクリアする必要があります。
そこで当社では、内容物が接触するシーラント層(最内層)はお蔭様で長年実績を積み重ねて参りました『ASOクリーンポリ袋』と全く同じ「原料グレード」「生産工程」で生産された無添加ポリエチレンフィルムをシーラント層として使用致しております。また、フィルムの内外層面は当社独自の洗浄技術によりフィルム表面を洗浄し、クリーンルーム内で製袋加工致しております。それでは、当社クリーンチャック袋のフィルム内面が本当にクリーンな状態であるのか? という問題が発生致します。しかし、この検証は当社が今までのクリーンポリ袋で培ってきた不溶性微粒子の測定を行なう事により歴然と証明されます。下記が当社クリーンチャック袋の不溶性微粒子測定結果であります。
弊社クリーンチャック袋と一般的によく使用されているラミチャック袋の袋内面パーティクルを測定比較したものが下記測定結果です。検体の袋は、両方とも生産後1週間程度の比較的新しい検体を選定致しました。
試 験 検 体
| 袋巾×チャック下
| 測 定 機 器
|
ASOクリーンチャック袋 AC-3号
| 200×280
| リオンパーティクルカウンター
|
一般ラミチャック袋 Ny15/PE60
| 200×280
|
測定結果と致しましては、下側の一般ラミチャック袋中にある12万個近い不溶性微粒子は10ml中のデータですので、袋内面全体では約10倍の120万個近い不溶性微粒子が存在している事になります。
さて、この理由と致しまして考えられる事は、まず一般ラミチャック袋の場合はシーラント層が「無添加原料」ではないため多量の添加剤が不溶性微粒子として検出された事であります。しかし、この添加剤以外にも生産ライン中での汚染の原因も考えられるものと思われます。・・・・と申しますのは、ラミネートフィルムは通常製袋時『ニッカリコ』という「でんぷんの粉」をフィルムにふりかけている工程が多数見られます。このニッカリコは、フィルムの滑り性をよくするためのスリップ剤のようなものなのですが、食品包装の場合は問題が少ないために汎用的に(殆んどの場合)使用されています。これは、お客様が袋に内容物を自動給袋により充填する際にフィルム同士の重なりを防止する事がその目的です。しかし、ニッカリコを使用するということは作業室内にニッカリコが浮遊している事は日を見るより明らかですし、生産ラインからの移行転写による汚染の可能性も非常に高くなります。これはライン清掃を念入りに行なったとしても、クリーンチャック袋のレベルとしては完全除去は不可能でかつ真菌や微生物の問題も避けられません。
また、不溶性微粒子問題以外にもフィルムを貼り合わせる工程にも問題があります。ラミネートフィルムの場合はドライラミネート工法が主流で、有機溶剤を溶媒として接着剤によりフィルム同士を貼り付けております。よって、半導体関連包装の場合は多量のハイドロカーボンの検出等問題が山積です。また、医薬品包装につきましても有機系接着剤成分のシーラント層への透過や残留溶剤の問題も発生します。
最後になりましたが、当社ではこの度クリーンチャックタイプを規格化致しまして「ASOクリーンチャック規格袋」としても製造販売を開始致しました。是非お声掛けください。!!